君と歩いた道

2017年に公立中高一貫校に入学した娘は、2023年に大学生になりました。

諦めている子どもたち

こももが小学5年生に進級した春、担任の先生が最初の挨拶の中で言葉を選ぶようにおっしゃっていたことがある。今の子どもたちは、最初から諦めている子が多いと。挑戦してもどうせ無理だ、無駄だ、できないに決まっていると、やる前から答えを出している。

そんな子どもたちに自信をつけてあげたいと、押し付けにならないように慎重に子どもたちと関わりながら、ゆっくりと静かに語りかける先生だった。

子どもたちを楽しませたい、やりたいことをやろうとする意欲を引き出したい、貪欲に挑戦してほしい、挑戦したことができた時の喜びを知ってほしい、そんな子どもたちへの豊かな愛情がひしひしと伝わってくる先生の明るさやユーモアが、こももの小学校生活の一頁を彩ってくださったことは今でも忘れられない。

子どもたちが最初から諦めている要因の1つに、親に限らず周りの大人たちの子どもたちとの関わり方や言動があると考えられる。何をやっても否定されたり、わかってほしいことがわかってもらえなかったりすることばかりだと、どうせまたダメだと言われるだろうと子どもなりの予防線を張ってしまう。認めてもらえないのは、大人が考える以上に子どもにとって悲しいことだからだ。それが親ならなおさら。

ちょっとしたことでも認めてもらえると、子どもの表情は人が変わったように生き生きと輝きを放つ。親は子どもを思うあまり、否定的な言動をしてしまうこともあるけれど、できるだけ認めてあげること、頑張ったことを褒めてあげることが子どもの自信になり、次へのステップを喚起する。

そんな内容の話だった。

こももの公立中高一貫校受検を経て、合格と入学を経て、今改めてそんなことを思い出した。当時その先生の話を聴きながら思ったことが、つながってくる何かが目の前にあるような気がした。

子どもたちは大人が考える以上に頑張っている。そして頑張りながら諦めている子どもたちもいるということ。諦めているからって手を抜くわけじゃない。そんな現代の子どもたちのイメージが浮かんだ。

子どもたちが経験してきたことはさまざまだが、これから一緒に過ごす6年間の間に、共に乗り越えて成長していけたらと思う。自分1人では途方に暮れるばかりだった大きな壁を乗り越えるきっかけを、友達との出会いが作ってくれることもある。