君と歩いた道

シングルマザーもものブログです。公立の中高一貫校に通う娘がいます。

公立中高一貫校を卒業して

 娘が大学生になりもうすぐ3か月。仲良くなった友達が早くも学校に来なくなったり、授業中に私語や笑い声でうるさい人が増えてきたりと不満や愚痴はそれなりにありますが、娘はめげずに毎日せっせと通っています。容赦ない量の課題にも意欲的に取り組んでいます。やりたいことを勉強することの楽しさを満喫しているように見えます。

 少し落ち着いたので、標題についてざっくりですが振り返りたいと思います。

 

◯ 学力を伸ばすために

 2017年春。合格の喜びとともに、夢と希望に胸をふくらませて入学した公立中高一貫校。娘は、緊張して固くなっている自分の殻を破っていくことで新生活に馴染もうとしていました。あれから6年です。

 入学した年は、新しい環境で、重いリュックを背負って初めての電車通学を始め、勉強に部活に頑張って、体力の消耗は想像以上だったのだろうと思います。帰ってきたらそのまま寝てしまうことが多かったです。食事や入浴ができない日が続きました。

 特に数学の難しさと進度の速さにとても苦労し、個別塾に通ったり、それを自学に活かせるか試してみたりもしつつ、生活には徐々に慣れていきました。しかし慣れてきたというのは、やろうとしてもできないものはできず、できる範囲でやるということに慣れてきたということです。何頁までやっておいてと丸投げされても、進めないから結果としてやれていない。

 学校の先生に相談しても、対応してくれるなどの提案はなく、埒があきませんでした。質問するのはできるようになりたいからですが、先生の方が妥協しているというか、娘は先生に質問してもわかるようにならないと知っていて、質問に対してされる説明がわからないと先生に申し訳なく、自信をなくしてますます質問に行くことができなくなっていくという悪循環。

 好きだった英語の学習への意欲も、徐々に減退していきました。効率を優先するようになり、だんだんリスニングをやらなくなりました。言われたことをやるのに精一杯で、興味や好奇心が学習のペースを押し上げるという好循環にはなりませんでした。英検受験はいつしか点取りゲームのようになっていたと思います。それで中学のうちにかろうじて2級まで取りましたが、高校で準1級を何度か受験してもう一歩のところで取れないままになっています。

 小学校のときの学習意欲を、中学につなげることができませんでした。それだけ考えたら、娘の場合は地元中に行って高校受験をした方が、学力を伸ばせたかもしれないと思います。無駄に苦手意識を植え付ける結果にならずに済んだかもしれません。

 とはいえ、娘自身の苦手意識とは裏腹に、そこそこの学力はついていたのだろうと思われます。大学受験では、第1志望の国立には惨敗でしたが、私大の一般入試の問題は、実感としては大学受験のレベルはこんなものなのかという意外な後味でした。一方で共通テストの得点開示は、娘自身の悪くない手応えとそれほど違わない結果だったようですが、それで落ちたということは、もうぜんぜん手が届いていなかったということだと納得していました。

 

◯ 母校になった公立中高一貫校

 娘が過ごした小学校と中高一貫校は、授業がうるさくて集中できないなどのトラブルがほぼなく、それで苦労したことがありませんでした。それはありがたいことです。特に中高一貫校は、平和というか、穏やかというか、娘にとってはアオハル全開の季節を過ごした場所でした。

 大学に入学してみると、自分は頑張りたくて大学に来ているけれど、そういう学生は少数派なのか、仲間をなかなか見つけられないようです。とりわけ娘は不真面目な学生に対する免疫がないので、余計に真正面から受け止めて頭に来るようです。

 そんな中で高校が懐かしくなったりすることも。娘にとって、公立中高一貫校は母校になったんだなと実感するエピソードです。

 現在はサークルで出会った同じ授業を取っている1学年先輩の女の子と意気投合し、悩みも話せているようで良かったです。焦らず一歩一歩、自分が咲ける場所を見つけていってほしいです。

 

◯ 下の子がいたら

 友人に恵まれ、無事に卒業を果たした公立中高一貫校。最後まで走り抜きました。終わり良ければすべて良し。All's well that ends well それに尽きる感慨です。娘にとって大切な母校になったことは大きな喜びです。

 けれど、もし我が家に下の子がいたら、受検や入学にもっと慎重になりそうです。娘の同級生のご家庭では、2人きょうだい、3人きょうだいでみんな同じ中高一貫校とか、下のお子さんも受検させたけれど不合格だったというご家庭も少なくないですが、私は受検させるかどうかの前に、受検を匂わせるような誘導もしたくないと思うようになりました。

 親からしたら、できる限り多様な選択肢を子どもに与えたいと思うのですが、それが実は親の敷いたレールになっていないかと自問自答が続きました。そして、子どもにとって合うかどうかは入ってみなければわからない、ということの重みを感じています。受検・合格・入学という精神的に大きな負荷をかける選択を小学生にさせるには、合わなかった場合のリスクが大きいと思いました。リスクとは、子どもの伸び代を潰してしまうということです。まあ人生はそこで終わるわけではないのですが。

 考え方や受け止め方はそれぞれですが、小学校のときに相談した先生方の消極的な反応を思い出すと(ある先生はお子さんを娘の学校に入学させた経験をお持ちでした)、今はなるほどと思うのです。