君と歩いた道

2017年に公立中高一貫校に入学した娘は、2023年に大学生になりました。

ムヒカさんへの手紙

ふと思い出した。それはちょうど、1年前の夏のことだった。こももは小学6年生。2016年8月。たった1年前のようでもあり、もう1年も経つのかという気もする(濃い1年だったからね)。購読していた毎日小学生新聞紙上で、こももが下記の記事を見つけて、ムヒカさんにお手紙を書きたいと言い出した。

みんなで書こう“ホセ・ムヒカさんへの手紙”コンクール - 毎日新聞

こももは、コンクールで入賞するかどうかはどうでもよくて、ただムヒカさんにお手紙を書きたいのだと、ムヒカさんにお手紙を読んでもらいたいのだと、力を込めて言った。

私は、「いいんじゃない?書きなよ!グッドアイディアだよ!」と背中を押しつつも、ムヒカさんにお手紙を読んでもらうのは難しいかなぁと内心思った。お手紙を読んでもらうためには、コンクールで入賞しなければならない。もし入賞したら、スペイン語に翻訳してウルグアイのムヒカさんの元に送ってくれるという。応募作品みんな、翻訳して送ってくれたらいいのにね、と話したりした。そしてこももは、とにかく書き始めた。

こももなりに伝えたいことを、精一杯の思いを込めて書いた。書き上げた時は、弾けんばかりの笑顔で「書けたーーー!」と叫んで、読んで読んでと私にせがんだ。投函する時は「入賞しますように!」とポストに手を合わせた。入賞するのはたった3点。どうせなら、応募作品みんな翻訳して・・・

とまた、それはそれで大変なことだと想像しつつ、それでもしつこく私は一縷の望みをかけた。難しいと思いつつ、こももの喜ぶ顔が見たくなってしまった。

10月下旬、選考結果が発表された。

こもものムヒカさんへの手紙は、残念ながら選考から漏れた。こももの手紙をムヒカさんに読んでもらうことはできない。こももは、本当はがっかりしているのに、何も気にしていないような素振りをして見せる。私はちょっと切なかった。

それでも、受賞された3人の方々のお手紙を読むと、どれも素直な、まっすぐな気持ちがにじみ出た素晴らしいお手紙で、ハッとさせられる発見にあふれていて、ムヒカさんから受け止めた思いや、ムヒカさんに伝えたい思いが伝わってきて胸に沁みた。共感するところがたくさんあって、感動や励ましをもらった。

こももがムヒカさんにお手紙を書きたいと言った夏。

こももがお手紙を読んでもらいたいと思ったムヒカさんとの出会い。

すべて、こももの大切な宝物だ。

こももが小学6年生の夏の、心に残る出来事である。