君と歩いた道

2017年に公立中高一貫校に入学した娘は、2023年に大学生になりました。

台本作り

小学5年生の冬です。

学校行事の学芸会で、集団で劇を創る楽しさを味わったこもも。芝居の稽古のほか、大道具、小道具などをみんなで作っていく本番までの過程が、特に楽しかったようです。

ある時、何を思いついたのか、同級生たちに合わせたキャラクター作りを始めました。その時点では、まだ劇を創るということまでは考えていなくて、一人一人のキャラクター像を創造していく遊びみたいなものです。同級生の特徴や好きなことを思い浮かべながら、キャラクター像を作っていくのが面白くてしょうがなかった様子。仲の良い友達と、せっせと作業を進めていました。

そのうち友達と、そのキャラクター像を登場人物にした劇を作ろうということになり、同級生の顔ぶれと登場人物のイメージをマッチングさせながらストーリーを考えて台本を書き始めました。当時、日曜劇場の「ごめんね青春!」など、宮藤官九郎にハマっていた時期でもあります。脚本を書くことに憧れもあったかもしれません。

そして、もうすぐ冬休み。

ちょうど公立中高一貫校受検対策の塾(転塾前)に通っていた頃ですが、冬期講習は辞退して、冬休みはおばあちゃんの家に行って年末年始を過ごす、おばあちゃんの家で学校の宿題と塾のテキストを自分でやる、従兄姉と遊ぶというスケジュール。時間の使い方は基本的に本人任せです。

学校の宿題はとっとと終わらせる主義。復習ドリルと読書カード作りは休みに入る前に終了。休みに入ってからやるのは書き初めを残すのみ。書き初めだけは、年が明けてからやらないと、年内にやっちゃうと書き納めになっちゃうからと、そういうところは妙に律儀です。

宿題以外の勉強は塾のテキストをやる程度でしたが、空いた時間はほぼその台本書きに没頭していました。

冬休みが明けて、3学期がスタート。

台本を書き上げたのが、1月の半ばくらいだったでしょうか。今度はそれを、製本していきます。

その一部始終を見守ってくださっていた担任の先生。休み時間の女子トークにも加わってくださって、先生も劇に出演することに。台本の製本などでも協力してくださって、年度末のクラスのお楽しみ会で上演しようということになりました。

先生のご厚意には感謝しかありません。学校のカリキュラムにないことを、こももたちがただやりたいと言って始めたことを、応援して後押ししてくださったこと。先生は「一生懸命やっているのを見ていたら協力しないわけにはいかなくなってきちゃったんです!」といたずらっぽく笑って言ってくださったけれど、その気持ちがありがたくてうれしかったです。

教室でやる年度末のお楽しみ会で、学芸会のような緊張感が漂う本格的な上演に至らなかったことは、こももにとっては少し物足りなかったようですが、夢中になって走り抜けた数ヶ月。やり抜いたことは満足そうでした。

台本の内容にしても、完成したものを読ませてもらうと、鋭い視点がところどころに垣間見えて(親の欲目ですよ)、よくやったなぁと、私はまた、目頭を熱くするという。

5年生が終わろうとしている、春のことです。