君と歩いた道

2017年に公立中高一貫校に入学した娘は、2023年に大学生になりました。

小学校について

(1)小規模校とマンモス校
(2)こももの先生方
(3)専科が充実している(音楽・図工など)
(4)水泳
(5)書写
(6)宿題が少ないことの是非

************

(1)小規模校とマンモス校

こももの小学校入学を控えて、学区の小規模校にそのまま入学するか、学童に近いマンモス校に越境するか迷った末に選んだのは、自宅からも職場からも近かった学区の小規模校だった。

小規模校のメリットは、
・トラブルがあった時に先生の目が行き届く。
・きめ細やかな指導が可能。
・小規模だからこそのアットホーム。
デメリットは、
・合わなかった時の逃げ場がない。

一方、マンモス校のメリットは、
・学童が近い。
・毎年クラス替えがある。
・自己主張が強い子が多いので揉まれる。
・歴史がある伝統校で、越境入学も多い人気校(人気の具体的な理由は不明で、メリットかどうかは見方によって変わるかも)。
・合わなかった時のクラス替えが救い。

最終的な決め手になったのは、学区の小規模校へ就学前健診に行って、在校生の子たちの雰囲気が良かったので、この学校いいかなと。決まる時はあっさり決まった。

そして小学校を卒業した今、6年間を振り返る時、この学校に入学して、この学校を卒業できて、本当に良かったなぁとじんわり思う。先生にも同級生にも恵まれた学年だった。これは入ってみないとわからないこと。学校というより、学年の特徴だったのかもしれない。たまたま集ったメンバーが作り出した学年カラーというか。

6年の担任の先生からは、「中学に行ったらいろんな子がいるよ。中学に行ってからの方が大変だよ」と脅かされるほど、小学校ではお互いを理解して、認め合えていた学年だった。お友達に小さなトラブルがあると、子どもたちは大騒ぎせず、そっと見守るような感じ。そして問題はいつの間にか収束。

また、スマートフォンや携帯電話の所持率が低かったことは、セーフティ教室の講師や警察の方から驚かれるところだった。

(2)こももの先生方

先生方が優秀。小学校の先生ってこんなに優秀なのかと驚かされた。そして熱心。忘れ物を取りに行くのは、うちの場合夜になってしまうのだけれど、教室に行くとまだ電気が煌々と点いていて、先生方が残って授業の準備や打ち合わせをしているところに遭遇することがしばしばだった。

子どもたちをいかにして喜ばせるか、いかにして食いつかせるか、あの手この手を駆使してくださる情熱に、我が子のことだけじゃなく、教員をされている多くの先生方を応援したい気持ちにもなった。

教育に携わる職業について語られる時、中等教育より初等教育初等教育より幼児教育と、子どもが小さいほど保育者、教育者に優秀さが求められるとずっと昔に聞いたことがあるが、それを改めて親の立場で実感したような気がする。

(3)専科が充実している(音楽・図工など)

自分の経験では、音楽や図工は担任の先生の授業を受けていたので、専科の先生がいることにまず驚いた。専科の先生方の、豊かな専門性にも驚いた。子ども相手とあなどらない真面目な取り組み。芸術科目の感性や発想を磨くことが、それ以外の教科への意欲や、生きていく力と深く結びついていくと感じた。

また、担任の他に常勤として専科の先生がいるということは、子どもたちを見る大人の目の数が単純に増えるということだ。そういう安心感にもつながった。

(4)水泳

またまた自分の経験との比較。私が子どもだった頃の印象では、水泳は得意な子がもっと得意になるための授業だと思っていた。そんなに泳げない子はほどほどに、泳ぎたい子はどんどん泳ぐ。

ところが、こももが経験した学校の水泳は、ここでも真面目な取り組み。一人一人の成長に応じて、今までできなかったことが一つでもできるようになるようにと、細かくカリキュラムが組まれている。こももは特に単純というか、その気になりやすいので、6年生までに50M泳げるようになっていた。スイミングスクールに通ったこともなく、水泳に対して特別な思い入れもなかったけれど、日々の授業や夏休みの水泳教室でそこまで成長できたことに驚く。小学校ってすごい。先生の指導力ってすごい。

小さな達成感を一つ一つ積み重ねていくと、大きな自信が育つ。そんなこもものうれしそうな表情を見られると私もうれしい。

(5)書写

書写についても、小学校で育ててもらった大切な経験。3年生で初めて担任の先生に書道を習った。先生に教わった「止める時はこう、曲げる時はこう」等の筆遣いのコツをこももは今も忠実に覚えていて、律儀にそれを守っている。

こももが描く字を見ながら、書道を習わせてあげたいなぁと何度も思いながら、延び延びになって今に至る。

(6)宿題が少ないことの是非

宿題のボリュームは学校によって本当にさまざま。こももの小学校は少なかった。6年生の時の宿題は自由課題だった。自由課題だと、自分でやりたいことを見つけてやる子にとってはうれしいくらいなんだが、宿題を出されないと勉強しない子にとっては、どうしていいかわからない状態。お母さんの悲鳴が聞こえてくる。

5年生の時に京都から転校してきたお子を持つお母さんから聞いたエピソードが興味深かった。転校前の京都の公立小学校では、算数は塾の中学受験レベルをやっていて宿題も膨大。低学年の時はアルゴリズムなど子どもの興味を喚起することを学校でやっていた。おかげでお子は算数が大得意に。通塾しているお子よりも段違いの良い成績。それが普通だと思っていた。ところが引っ越してきてみると、こちらの学校では宿題が驚くほど少ない。10分で終わる。これは大変、学習量が圧倒的に足りないからと通塾を始めたと。

また、近隣の小学校にお子を通わせるお母さんから聞いた話では、宿題の量が多すぎて内容も難しすぎて、塾の宿題まで手が回らないと保護者から苦情が出ると。塾の宿題をやらせるために、学校の宿題を減らしてほしいということ。

限られた時間の中で、与えられた時間の中での、取捨選択の質が問われているのかなと思ったりした。全部はできないとなれば、何を優先させるのか。