君と歩いた道

2017年に公立中高一貫校に入学した娘は、2023年に大学生になりました。

心の安定と生活の安定と

娘が生まれてからしばらく、私は精神的にとても不安定でした。産休が明けて復職してからも、それは続きました。表面的には、頑張っているのです。でも、心の中では、いつも泣いていました。理由はぼんやりしていて、これというはっきりしたものがなく、逆に1つや2つではなくたくさんあるような気もしていました。

娘の前では、明るく楽しいお母さんを演じ続けていました。演じるというと語弊があるかもしれません。きっとそれも偽りではなく、私の本当の一面だったのでしょうし、それが支えになっていた面もありました。

一種の産後うつだったのかもしれませんが、勤務先の産業医に相談しても、精神科に足を運んでみても、何か違うというか、解決の糸口は見つかりません。よくわからない悲しい気持ちを、ずっと抱えて模索していました。

ある日、娘を保育園に預けたあと、会社を休んで1人で映画を観に行きました。ジブリの「ハウルの動く城」です。ボロボロボロボロ涙が流れました。心の奥底に封印している感情が、いっぱいいっぱいになって苦しくなって溢れ出したようでした。

勤務先は女性が多い職場だったので、産休や育休には比較的理解がありました。それでも、正社員と契約社員の待遇には大きな差がありましたし、何より上司(男性)の理解は全くなく、その上司から受ける仕打ちは、妊娠中から産休明けに至っても冷たいものでした。

所詮、5年限定の有期雇用。このまま働いても数年後には退職しなければならない。

産休を取らせてもらえたことは、今でもありがたく思っています。妊娠がわかった時にその職場にいたからこそ、実現できたことでした。でも、ずっといる場所じゃない。

仕事が安定すれば、心の不安定も解消できるのではないか。そんな試行錯誤。本当はそういう問題じゃない。でも、全く無関係の問題でもない。

その会社を辞めて、派遣で食いつなぎながら正社員就職の職探しを始めたのは、娘が2歳の冬です。その9ヶ月後、娘が3歳の夏に、念願の正社員就職を手にしました。