君と歩いた道

2017年に公立中高一貫校に入学した娘は、2023年に大学生になりました。

算数の応用自在で遊ぶ

私が小学6年生だった頃、クラスメートの男子1人、女子2人の3人で、中学受験ごっこみたいなことをして遊んでいた。算数の応用自在という市販の参考書を使って問題を解く遊びだ。出版社は思い出せない。現在の学研の応用自在とつながるものだったかどうか。その応用自在は最近見かけるのとずいぶん違って、かわいいイラストやきれいなイラストなんてそんなになくて、二色刷り程度の分厚い参考書だった。全国の難関中学の過去問が類題として載っていて、それを解くのが面白かった。自由自在という参考書もあったが、私は応用自在の方が相性が良かった。

算数の◯◯算など、今でこそこももの学習を通していろいろ目にするようになったが、当時はそういう名称には興味がなく見ても頭に入ってこなかったのだと思う。全く記憶がない。ただ問題を読んで解くだけ。それが楽しかった。中学で方程式を学ぶから不要になるということで学校のカリキュラムから外されたそうで、だから学校では勉強していないはずだがそれにも気づかず、無邪気に謎解きを満喫していた。

そして今、なぜ中学受験の算数が面白いのかと考えてみると、算数の歴史を紐解いていくことが探究心をくすぐるからかもしれない。問題の解き方の発展の歴史というか。実務としては最新の便利な方法だけわかっていれば充分で必要ないのかもしれないが、必要なことばかりやっていたら人生つまらなくなる。学ぶってそういうことなんじゃないかと思うのですよね。

一緒に遊んでいたうちの女子2人(私を含む)は、中学受験の予定は最初から最後まで微塵もなかった。受験するのは医者の息子や娘の少数で、受験したいとかしたくないなどの思い入れも当然になく地元の中学に行く。男子1人は都会からの転校生で、クラスの他の男子とは毛色が違っていた。妙に上品というか、話し方や仕草が女子以上に女子っぽかった(今でいうオネエではなさそうで好きな子も女子だった)。医者の息子ではなかったが受験するために通塾もしていた。デキがいい兄が進学した名門中学に、自分も合格しなければいけないというプレッシャーやらコンプレックスが相当あるようだった。結果として合格を取れなくて、一緒に地元の中学に進学した。

小学生が中学受験ごっこをしながら、◯◯国立大学に行きたいとかおままごとのような夢を描き、子どもながらに語り合っていた。あのときの応用自在、もう一度見てみたいけれど、古書でももう見つからないかな。