こももにとって初めての数検。
小6レベルと聞いて6級を申し込んだ。こももが受けたいと言ってきたわけではなくて、一度も受けたことがないので経験として私が受けさせてみたかった。問題集みたいなものも購入したが全く手をつけずに当日を迎える。小6レベルを小6が終わってから受けてもそれはそれで、準備しないで満点を取ってくるつもりで受けるのもありかも、とか後付けの理由はいくらでも。
とはいえ、どういうレベルであれ試験を受けるわけだから、問題集のページをめくってみるくらいの緊張感を漂わせてほしかった。そうすれば、無駄に恐れ慄くこともなかったかもしれないのに。
そう、こももはビビっていた。
会場に向かう最寄駅を出ると、雨が降ってきて気分もどんより。早めに着いて入ったドトールでは、隣に座っていた高校生くらいの男子が、脚を揺すりながら必死な形相で数検4級の問題集をやっている。「ほれ、この真剣な様子を見てごらん?」とこももに目で合図を送ると、こももは「だから何?」という合図を目で返してくる。何ともふてぶてしい態度でビビっている。
しかし、いざ受けてみると6級は、こももにとって信じられないほど簡単だったようだ。終了時刻より早く退室してきたこももは、私の顔をまじまじと見つめながら、笑いがこみ上げてくるのをこらえ切れない。「もしこれで落ちたら、こももヤバイよ」とか「95点は余裕」とか。
いや、待て。そこは「100点は余裕」だろう。簡単だったなら、5点を落とす理由はない。こもも「そうなんだけど、ケアレスミスとか、絶対ないとは言えないという意味で」とかごにょごにょ。
(以下、私の心の声)
--絶対とは言えなくても、絶対って言い切っちゃっていいんだよ?
--失敗してもいいんだよ?
--それを責める人はいないし、恥ずかしいことでもない
--何度失敗しても、何度でもやり直す気概を持とう!
--失敗の数だけ、成功の喜びは何倍にもなる。それっておトクじゃない?
こももは、気が進まないことや自信がないことに対して、逃げ腰で遠慮がち過ぎる面がある。必要以上に慎重を期す。自分から負けていくというか、最初から勝ちを譲っているというか、かといって負けるのはいやで、何かっていうと保険をかけようとする。
(以下、再び私の心の声)
--もっと自分を前面に出して、思い切ってやってみよう!
--そしたら思いがけない新しい自分を、発見できるかもしれないよ?
ともあれ、6級受験が終わってすっきりしたので、5級の問題集にとりかかる心の準備は整ったようだ。