君と歩いた道

シングルマザーもものブログです。公立の中高一貫校に通う娘がいます。

ただそれだけの花束とエビスビール

 週末の母の日を前にしたその日、玄関を開けたら娘がドアの後ろから顔だけ覗かせて、笑顔と一緒に花束を差し出しました。カーネーションと霞草の、華やかなアレンジメントがされた花束です。

 こんなふうな、花屋さんに頼んで作ってもらったようなオリジナルの花束を、娘からもらうのは初めてでした。私を喜ばせようと、はにかむように笑う娘の顔を見ながら、私は目頭がじわっと熱く濡れるのを感じました。

 うれしくて泣きそうになりますが、泣きません。その代わりに、私に花束を手渡してくれるまでの小さなエピソードの軌跡を、根掘り葉掘り聴き出しました。娘の話は止まらず、楽しい偶然が詰まったストーリーに私は笑いました。

 

 花束の赤い和紙や濃いピンクのリボンを解くのが、名残惜しくためらわれましたが、ともあれ写真に収め、花を水に刺しました。花瓶は、私がうっかり落として持ち手が欠けてしまったガラスのビアジョッキです。このジョッキは、かつて小学生の娘が、「ビールが好きなママへ」と私の誕生日にくれたものでした。

 まだまだ子どもですが、少しずつ大人になっていく娘。この子の幸せを、いつも祈っています。

 私をママにしてくれてありがとう。ちっともいいママじゃなくて、落ち込むこともあるけれど、ママも頑張るよ。

 

 ちなみに、私は会えない母に、エビスビールを贈りました。いつまでもビールがおいしいと思えるくらい健康で、元気でいてほしいです。