(原題:Out of Rosenheim、英題:Bagdad Café)
1987年11月西ドイツ公開、1989年3月日本公開の西ドイツ映画。私は日本公開まもなく、渋谷のシネマライズに観に行っていました。当時通っていた英会話学校で、アイルランド人の講師が絶賛するのを聞いて観たくなったのがきっかけです。天安門事件、ベルリンの壁崩壊の直前でした。
シネマライズは暗い階段を下りながら地下に潜っていくような面白い構造の内装で、観客は「ここは日本か?」と思うほど外国人が圧倒的に多かったのが印象に残っています。
観終わって感動のあまりサントラを買うも、名残惜しくて映画館から出られず、そのまま最終の上映まで3回か4回か続けて観てしまいました。当時は入替制ではなかったので、一度入ったら何度でも観られたのです。
その『バグダッド・カフェ』を、今回DVDで娘と観ました。
娘と映画館に行っても、観るのは今までアニメや邦画、吹き替えのディズニーだったりして、邦画と一括りに言ってもストーリーや視点はそれぞれではあるけれど、受け手の印象としてのスケールがこじんまりと収まりがちなのが気になっていました。
娘が高校生になり、世界は自分の知識以上に広いのだと想像力を駆り立ててほしくて、その取っ掛かりとして観せたい映画は何か?と頭をひねった末に、幾度となく脳裏に浮かんでくる洋画作品が『バグダッド・カフェ』でした。
私自身は今までビデオやDVDでも観ていますが、それでも最後に観てから10年以上は経っています。細かいところで忘れている場面も多々ありましたが、いやー、やっぱり良きですね。すべてが良きです。ところどころ良きです。感極まります。
そして娘は、そこに何を見つけてくれたでしょうか。これからも、何度でも観てほしい作品です。