朝の通勤途中のことです。横断歩道の信号待ちで、保育園に向かうらしきパパと男の子の二人連れを見かけました。やさしそうなパパとかわいらしい男の子です。
男の子がパパの腰にしがみついて「抱っこ、抱っこ」とせがんでいます。パパは男の子の顔を見つめながら、男の子に「抱っこは今度ね」と話しかけますが、男の子は聞きません。信号が青になり、パパは根負けして男の子を抱き上げました。
すると今度は「走れー、走れー」と男の子がパパの肩を叩いて叫びます。馬のお尻を鞭で叩くように・・ パパは男の子を抱っこして歩きながら、気持ち走る素振りを見せますが、男の子はもはやズリ落ちそうになっています。抱っこして、荷物を背負って走るパパの大変さを、男の子は知る由もなく屈託がありません。男の子にとっては、パパは完全無欠のスーパーヒーローで、それを疑う余地はないのです。
思わずそんな一部始終を見守りながら、私は娘が小さかった頃のことを考えました。娘はどうだったかな。私はどうだったかな。
小さいときのわがままや自己主張は、いつか心優しい大人になるための大切なステップ。かといって、親にだってできないことはたくさんありますから。言いたいことを言わせてあげるとか、聞いてあげるだけでも、子どもは大満足なのかもしれません。
諦めない強さ、信頼する強さを、小さな子は自分で育てようとしているようにも見えますね。